みなさんは「学級経営とは何か」と問われたら何と答えますでしょうか。
普段のブログの内容とは一線を画すような真面目な問いから始めるのは少々気が引けますが、実のところ私はブログで実践を紹介するというよりもこういった理論の方に興味がある人間であります。この「学級経営とは何か」という問いに関して、これからつらつらと私の学んできたことや見解を書いていこうと思います。そうなると私自身が答えをもっているかように見えるかもしれませんが、私自身、未だに迷っている人間です。ですので、本音を言えば、この記事を読んでいる皆様とも意見を交換していきたいなぁと思っています。
始めに断っておきますが、これから書いていくことは実践向きではなく、しかも面白味もないかもしれません。「学級経営」という枠組みを理論的に捉えたいという、いわゆるマニア向けの記事になりますので、ご了承ください。
学級経営の2つの捉え方
学級経営には大きく分けて2つの捉え方があると言われております。これまでの研究・主張から言えば、2つ限らずもう少し細分化されているので、明確に2つという訳ではありませんが、とりあえず今回紹介するのは以下の2つです。
・条件整備的側面
・教育活動的側面
多分ですが、上で述べた2つの捉え方の文字面から、このページをそっと閉じた方もいらっしゃるような気がします。それはそれで構いません。もし読んでくださる方がいれば、この先もどうぞ。
この2つについては以下の論文をご覧いただくと分かりやすいかもしれません。ネットでも見られますので、よろしければご覧ください。
・白松賢:「授業/学級づくりに関する教育方法学的研究(1)-教育課程にみる「学級経営」概念の日本的特色に着目して-」,愛媛大学教育学部紀要,第61巻,pp.71-78,愛媛大学教育学部,2014
・赤坂真二:「学級経営の意味と課題」,日本学級経営学会誌,第1巻,pp.1-4,日本学級経営学会,2019
学級経営における捉え方についてさらに気になる方は、宮田丈夫氏、下村哲夫氏、高階玲治氏、永岡順氏、天笠茂氏などの書籍で整理されているので、インターネットや図書館などに見かけたらぜひご覧ください。
ここからは、この2つ(条件整備・教育活動)についてもう少し詳しく説明していきます。例えば朝倉(2016)では2つを次のように説明しています。
学級における教育活動を成り立たせる条件整備と、学級をつくるために子どもがかかわり合いながら学んでいく教育活動
朝倉雅史「教師が”よい学級”を問う意味とはー学級づくりのノウハウ流通の問題と学級観の重要性ー」,末松裕基・林寛平編,「未来をつかむ学級経営 学級のリアル・ロマン・キボウ」,学文社,2016
この引用は学級経営ではなく「学級づくり」として紹介されていますが、とりあえず参考までに(「学級経営と学級づくりは違うのか、というのはいずれ書ければと思っています)
私は上の2つを次のように解釈しています。
・条件整備的側面…「○○のための学級経営」
・教育活動的側面…「○○を目指した学級経営」
誤解がないように書きますが、これら2つの捉え方は別々に分けられるものというよりは、この2つの面が学級経営にはあるよね、というくらいのものであります。ここからも2つ別々で説明はしていきますが、別々のものではないということをご了承ください。
条件整備的側面
「条件整備」とは、目的・目標を達成するために必要な条件を整備するという意味合いがあります。学級経営を条件整備として捉える考え方は1960年頃から主に宮田丈夫氏によって主張されてきました。
例えば、授業では「ねらい」「目標」などが書かれていると思いますが、それを達成するために必要な条件は何かと考え、その条件を整えていくのが学級経営の見方の1つである条件整備論という考え方です。こちらの起源は外国における授業研究が発端で………、その話は一度置いておきましょう。
どんな条件を整備するのか、ということに関してもいろいろありまして1つに定まっているわけではないのですが、私が一番しっくり来ているのが丸山(1987)の
①学級の人的条件 児童生徒の理解、学級担任と児童・生徒の相互作用、児童・生徒活動
丸山義王:「学級経営の評価をどう行うか」,下村哲夫編,「学校づくりを目ざす学年・学級の経営」,204,株式会社ぎょうせい,1987
②学級の物的条件 学習環境の工夫、教室環境に関するもの
③学級の運営的条件 日常的な学校生活における児童・生徒の扱いに関するもの、過程との連携、学級事務
という3つの分け方です。人的・物的・運営的条件です。もちろん、これらははっきりと分かれるものでありません。下の図のようにどれかとどれかが重なりあったり、全てにちょっとずつ関わり合ったりしています。

この図は、それぞれの条件に関わりがあるというものを表したものなので、実際にはそれぞれの条件で軽重があります。多分、現代学級経営においては人的条件が一番デカい、とか。
とりあえずまとめますが、ねらい・目標のために、上のような3つの条件を整えるのが学級経営だ!という見方です。「言われてみるとなるほどなぁ」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかしこの考え方は「子ども不在だ!」「管理的過ぎる!」などの批判もあったようです。
それに対する、もう一方の立場「教育活動的側面」も見ていきましょう。
教育活動的側面
学級経営という営みは教育内容をもっている具体的な教育活動だ!という捉え方です。私は「○○を目指した学級経営」という表現をしましたが、例えば「自治的集団を目指した学級経営」「子ども主体の学級を目指した学級経営」というように学級経営というものを通して、自治的や主体性といったものを育んでいこうとするようなイメージです。
こちらの立場は条件整備のように人的・物的・運営的と分けて考えるというよりは、学級で行われる教育活動を全てひっくるめて学級経営としているような感じです。すべての教育活動が帰納的に作用して、学級の雰囲気や文化といった側面に現れるようなイメージでしょうか。
教育活動というくらいですので、明確な学習内容があるという主張もあります。例えば赤坂(2018)は
ここまでの話をまとめたいと思います。
赤坂真二:「学級経営サポートBOOK 資質・能力を育てる 問題解決型学級経営」,117,明治図書株式会社,2018
①学級経営とは、学級活動とりわけその(1)を中核として充実が図られる営みである。
②学級活動で身に付けるべき力は、協働のための知識と態度・スキル及び話し合いによる自己や集団の問題解決に主体的にかかわることによって、自己実現を図ろうとする態度である。
③学級経営には指導すべき内容があり、その中核をなすのが②である。
と述べております。学級経営を教育活動として捉える考え方は書籍としても多く見られますが、ここまではっきりと学習内容としての学級経営を書いているのはないのではないでしょうか。
条件整備的側面から学級経営を考えるならば、学級経営は何かの土台や前段を表すものであり、教育活動的側面から学級経営を考えるのであれば、学級経営は行為や活動後の状態を表すものとしても考えることができます。
まとめ
極力、回り道をせずに学級経営の2つの捉え方を説明したつもりでしたが、いかがだったでしょうか。先ほども書きましたが実際のところこの2つは分けられるものというよりも、両面あるという捉えでいいかと思います。
「うんうん、分かるなぁ」と思っていただければ幸いです。このような調子で「学級経営とは何か」についてつらつらとまとめていきたいと思います。
ここまで読んでくれる人がいるのか怪しいところではございますが、私のメモのためにもお付き合いいただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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