みなさんの学校・学級では目標を立てていますでしょうか。多くの学級では学級目標があったり、「1学期のめあて」のような個人目標を立てたりするのではないでしょうか。
私も学級目標や個人目標を立てさせていましたが、ある時にふと思いました。
「これって必要なの…?」
必要・不必要というのも疑問でしたが、目標として機能しているのか…ということが大きな疑問でした。目標が機能するというのは、私なりには「この目標に向かって頑張ろう」という行動や計画遂行への意欲づけになっているか、ということです。そう考えた時、自分が子どもたちにさせてきた目標を立てるという活動はあまり意味がなかったのではないかと思ったのです。
そこで書籍などを読み、目標をいかに立てさせるということについてのアイディアを紹介します。そもそも「目標を立てさせる」ということに違和感を感じる方もいると思います。しかし、目標を立てるというのは積み重ねないとうまくできないので、ある程度経験として積ませる意味でも目標を立てさせる活動は必要だと思います。
PAの考え方SMARTより
以下の書籍にも目標の立て方が書かれていて、その中で「SMART」というキーワードがあります。私はこの考え方がとても分かりやすかったので紹介します。
SMARTは頭文字をつなぎ合わせたものです。
Specific=その目標は具体的ですか?
Measurable=その目標は何らかの形で計ることができますか?
Achievable=その目標は達成可能ですか?
Relevant=その目標は適切ですか、今の生活や状況に関連していますか?
Trackable=その目標はプロセスが追跡できますか?プロジェクトアドベンチャージャパン:「グループの力を生かす 成長を支えるグループづくり」,みくに出版,2005
少し大人向けかもしれませんし、全ての要素を一度に指導しようとすると逆に目標が立てられなくなります。ただ、考え方としてはとても大事なので、まずは教師自身がこの考え方をもとに目標を立ててみてもいいでしょう。
私の指導
目標を立てさせるポイント
では、私が指導するときにどんなことを意識しているかといいますと…下の書籍も参考にしつつ次のようなことを意識しています。
①期限を決める
②数字を入れる
まずは、この2つです。①は必ず決める、②はできれば入れるという感じです。
1つ目の期限について、学校におけるめあて・目標は1学期間のように長期間のものがありますが、私は極力短い期間で設定をさせています。長い期間での目標であればあるほど、目標は忘れやすいからです。
2つ目は数字を入れることです。その理由として、数字を入れることで具体性が増すからです。ただし、入れない方が具体的になることもあるので、あくまでもその目的は「具体的にする」ということなので、そこが意識されていれば数字にこだわらなくても良いでしょう。
教師の関わり
目標を立てて終わり、になってしまう原因は実は教師にあると思っています。その理由として①その目標がそもそも子どもにとってのものになっていない、②目標を立てたあと確認する機会・時間を確保していない、③達成のための具体的な見通しがない。など様々あります。
目標達成にしても、係活動にしても、自由進度学習にしても、子ども自由度が高ければ高い活動ほど教師の関わりが重要になってきます。「自分の頑張りを暖かく見守ってくれる存在」が身近にいることは子どもの目標達成意欲を高めてくれるはずです。
では、具体的に何をすればよいかといいますと…
教師が子どもの目標達成の伴走者になることです。
そのためにできることとして、定期的に子どもと個別の面談の時間をとり「目標に向けて調子はどう?」「何か困っていることある?」「私に手伝えそうなことはある?」と聞いてみましょう。もし、子どもの方から何もなくても、そこまでの子どもの頑張りについて肯定的なフィードバックをしましょう。フィードバックについて上越教育大学の赤坂真二先生は
フィードバックをすることは、主に次の3つです。子どもたちの活動に対して、①評価 ②助言 ③感情の伝達 です。(中略)子どもたちの行動を変容に導くのは、フィードバックの役割が大きいです。
赤坂真二:「学級経営大全」,明治図書2020
と評価・助言・感情の伝達をフィードバックとして伝えることで子どもの行動に変容が生まれることを述べています。
子どもの目標達成に教師の存在は欠かせません。私自身も子どもの目標を自分が意識し始めたら、子どもの行動も変わったように思えます。子ども1人1人の目標に関わるというのは正直時間的にも体力的にもしんどいかもしれませんが、やるだけの価値はあるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
目標を立てる、それに向けて行動する、というのは生涯学び続けるための1つの手立てになり得ると私は思います。ただ、その営みはすぐ身に付くものではないので、少しずつ慣れさせていけるのが理想かもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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