【疑問】そもそも「振り返り」って必要なのか。

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学習や活動のあとに行われる「振り返り」。

授業の研修などをしていると「振り返りをさせましょう」とよく言われます。しかし、「なぜ振り返りをしなければいけないのか」「振り返りの目的は何か」をしっかり説明していることは少ないのではないでしょうか。

私の初任時代、学級の子どもに

先生~。振り返りってなんで書くんですか?

書くのめんどくさいんですけど!

と言われ、恥ずかしながら困惑してしまった思い出があります。私がどう答えたのかは定かではありませんが、きっとこの子が納得するようには説明できなかったはずです。

上のように言ってくれる子どもは本当にありがたいと思います。そして上のように言わずとも、そう考えている子はそれなりにいるのではないでしょうか。「書こうと言われたから書くけど、なんのために書くのかわからない」というように。

そこで今回は「振り返りの目的」について考えてみたいと思います。決してこれから言うことが「答え」ではないですので、見てくださっている皆様と共に考えるきっかけになればと思います。

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学習指導要領より

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説の中に「振り返り」という言葉は7回登場する。その約半分である3回を「特別活動」が占めている。もう少し範囲を広げ「振り返」にすると29回登場する。

その中で第1章 総説 1改訂の経緯及び基本方針 (2) 改訂の基本方針  ③「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進 エ に次のような文章がある。

 今回の改訂では「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を進める際の指導上の配慮事項を総則に記載するとともに,各教科等の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」において,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を進めることを示した。
 その際,以下の6点に留意して取り組むことが重要である。(中略)

エ 1回1回の授業で全ての学びが実現されるものではなく,単元や題材など内容や時間のまとまりの中で,学習を見通し振り返る場面をどこに設定するか,グループなどで対話する場面をどこに設定するか,児童生徒が考える場面と教師が教える場面をどのように組み立てるかを考え,実現を図っていくものであること。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

引用のように振り返りは「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に関する留意事項として登場する。

その他にも「振り返」の記述は30個近くあるわけだが、全て丁寧に抜き出すのも辛いので、選んでざっくばらんに前後くらいを抜き出してみる。

ウ 問題発見・解決能力
  各教科等において,物事の中から問題を見いだし,その問題を定義し解決の方向性を決定し,解決方法を探して計画を立て,結果を予測しながら実行し,振り返って次の問題発見・解決につなげていく過程を重視した深い学びの実現を図ることを通じて,各教科等のそれぞれの分野における問題の発見・解決に必要な力を身に付けられるようにするとともに,総合的な学習の時間における横断的・総合的な探究課題や,特別活動における集団や自己の生活上の課題に取り組むことなどを通じて,各教科等で身に付けた力が統合的に活用できるようにすることが重要である。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

生涯にわたって能動的(アクティブ)に学び続けるようにすることが求められている。
① 学ぶことに興味や関心を持ち,自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら,見通しをもって粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

思考・判断・表現の過程には,
・物事の中から問題を見いだし,その問題を定義し解決の方向性を決定し,解決方法を探して計画を立て,結果を予測しながら実行し,振り返って次の問題発見・解決につなげていく過程

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

・ 「問題解決への見通しをもつこと,社会的事象の見方・考え方を働かせ,事象の特色や意味などを考え概念などに関する知識を獲得すること,学習の過程や成果を振り返り学んだことを活用することなど,学習の問題を追究・解決する活動の充実を図ること」(社会科)
・ 「数学的な見方・考え方を働かせながら,日常の事象を数理的に捉え,算数の問題を見いだし,問題を自立的,協働的に解決し,学習の過程を振り返り,概念を形成するなどの学習の充実を図ること」(算数科)

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

今回の改訂においても,引き続き児童の学習意欲の向上を重視しており,主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めるに当たって,特に主体的な学びとの関係からは,児童が学ぶことに興味や関心をもつことや,見通しをもって粘り強く取り組むこと,自己の学習活動を振り返って次につなげることなどが重要になることから,各教科等の指導に当たり,本項の規定を踏まえる必要がある。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

道徳科では,「児童が自ら道徳性を養う中で,自らを振り返って成長を実感したり,これからの課題や目標を見付けたりすることができるよう工夫すること」が重要である。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

学習評価は,学校における教育活動に関し,児童の学習状況を評価するものである。「児童にどういった力が身に付いたか」という学習の成果を的確に捉え,教師が指導の改善を図るとともに,児童自身が自らの学習を振り返って次の学習に向かうことができるようにするためにも,学習評価の在り方は重要であり,教育課程や学習・指導方法の改善と一貫性のある取組を進めることが求められる。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

キャリア教育が学校教育全体を通して行うものであるという前提のもと,これからの学びや自己の生き方を見通し,これまでの活動を振り返るなど,教育活動全体の取組を自己の将来や社会づくりにつなげていくための役割を果たすことである。

【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)

これらの記述から考えるに。

上のように学習指導要領における振り返りの記述を挙げてみました。

これらを私なりにまとめると「振り返り」は以下のような目的・機能をもっているのではないでしょうか。あくまでも私なり、の考えです。

「これまで」と「これから」をつなぐため

我ながら都合のいい言葉に逃げてしまったような感じがあります。

もう少し詳しく書くのであれば、振り返りは

メタ認知や成長、目標達成に向けて「今」を言語化して分析する

とも言えるのではないでしょうか。

うーん、でもしっくりきません。しかもこう書いておきながら、これを子どもたちにどう納得させるか、振り返りに必要感をもたせるにはどうしたらよいのかと考えるとまた悩ましい問題です…。子どもたちにとって振り返りとは、学習の感想くらいの気持ちかもしれません。しかし、こうしてまとめてみると振り返りは「次」への視点を大切にしているような印象を受けます。「次」の視点をどのようにもたせるのか、これも新たな問題です。

振り返りって深いなぁと感じます。


ここまで書いてみても、初任のときに言われた「振り返りってなんで書くんですか?書くのめんどくさいんですけど!」にしっかり答えられる気がしません。まだまだ私も考え続けていきたいと思います。これからの時間をかけた長い長い宿題みたいなものです。

ちなみに以下の書籍には振り返りについて次のように書かれています。

ふりかえり(ディブリーフィング:debriefing)とは、活動からの気づきや学びを整理し、次への活動が日常生活へつなぐパイプ的な役割をします。活動を振り返ることで、その活動を単に”体験した”という、経験で終わらせるのではなく、活動を共にした仲間と活動中の出来事について思い出し意味づけをすることで、”体験からの学び”を得る機会になります。

「プロジェクトアドベンチャー入門 グループのちからを生かす 成長を支えるグループづくり」プロジェクトアドベンチャージャパン、みくに出版、2005


ふむふむ、やはり「次」のために振り返るわけなのですね…

追記…以前、何かの本で振り返り(書籍ではリフレクションと明記)の目的の1つとして「自分の中に自分以外の他者を生み出すこと」と書いてあった気がします。非常に面白いなぁと思いました。

振り返りの目的については一度ここで、一区切りとさせていただきます。

では「どのように書けばいいのか」は次の記事でまとめたいと思います。

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